うつわ・焼き物の中部産地マップ/地図、歴史、特徴(九谷焼/美濃焼/瀬戸焼など)

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以前の記事「うつわ・和食器・焼き物の産地マップ/地図、歴史、特徴(東北・関東)」に続き、今回は中部地方の産地別の焼き物の歴史や特徴をご紹介します。

うつわや焼き物それぞれの特徴や歴史などを知ることで、和食器選びがもっと楽しくなるかもしれません。

中部地方の焼き物産地マップ

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石川県の九谷焼、岐阜県の美濃焼、愛知県の瀬戸焼をはじめ、9つの焼き物の歴史や特徴をご紹介します。

中部地方では、特に石川県が珠洲焼、九谷焼、大樋焼など種類が多く、焼き物が盛んな地域であることが分かります。

無名異焼(むみょういやき):新潟県 佐渡島

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無名異焼は新潟県佐渡市で焼かれる陶器で、無名異とは酸化鉄を含む赤土のことで、止血のための漢方薬でもありました。無名異焼の歴史は、江戸時代に伊藤甚平が無名異を使って楽焼を焼いたのが始まりです。

無名異焼の特徴は、赤土特有の赤茶色と高温で焼き締めるため、非常に固く、叩くと金属音のような高い音を出す点です。赤土が出す赤茶色がきつ過ぎず、控えめで和を感じさせてくれます。

珠洲焼(すずやき):石川県

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珠洲焼は平安時代から室町時代にかけて石川県珠洲市付近で生産されていた陶器でした。室町時代後期に突然に途絶えてしまいましたが、珠洲市が珠洲焼を1976年が復興させました。

珠洲焼は、古墳時代から平安時代にかけて焼かれていた須恵器の技法を受け継ぎ、粘土紐を巻き上げ、叩きしめて成形を行い、「燻べ焼き(くすべやき)」で焼き上げます。その特徴は高温で釉薬を使わないため、灰が自然釉の役割を果たすことが多く、繊細で力を持った灰黒色の美しさを醸し出します。

九谷焼(くたにやき):石川県

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九谷焼は、石川県南部(金沢市、小松市、加賀市、能美市)で焼かれる色絵の磁器です。その歴史は、江戸時代に九谷村(現在の石川県加賀市)で陶石が発見されたことから、有田の技術を導入して磁器の生産が始まりましたが、50年ほどで突然廃窯になりました(古九谷と呼ばれています)。そのおよそ100年後(1807年)に加賀藩が金沢に春日山窯を開き、現在の九谷焼につながっています。

九谷焼の特徴は、色鮮やかな色彩で描かれた絵付けです。色彩は主に緑、紫、黄、青、赤が用いられます。絵付けの鮮やかさが食卓を明るく彩ってくれそうです。

大樋焼(おおひやき):石川県

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大樋焼は、石川県金沢市にある350年の歴史をもつ京都楽焼の脇窯(楽家以外で楽焼を焼く窯の総称)です。明治以降、日本各地に楽焼が広がりましたが、楽家の技術を直接受け継ぐという意味では、大樋焼は現在ただ一つの由緒ある脇窯と言われています。

その歴史は、江戸時代にお茶の文化を広めようと考えた加賀前田藩主の五代前田綱紀が、京都から陶工として裏千家四世仙叟宗室を招いたことから始まります。

その際に茶碗師として同道していたのが、楽家四代一入の門人 土師長左衛門(初代大樋長左衛門)です。その後、金沢に移り住んだ長左衛門が良質な陶土を探していた際に大樋村で見つけた陶土を気に入ったことから、「大樋焼」と呼ばれるようになりました。

大樋焼の特徴は、ロクロを使わない手びねりとヘラで作られる点と、京都の楽家から楽焼の黒や赤を使うことを禁止され、独自の飴釉という釉薬の効果を利用した点が挙げられます。

そのため、渋みのある茶褐色の光沢があり、暖かみのある風合いで、お茶にも広く利用されてきました。

越前焼(えちぜんやき):福井県

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越前焼は、福井県丹生郡越前町の主に宮崎地区、織田地区で焼かれる陶磁器です。その歴史は平安時代から始まったと言われていますが、越前焼の名前が定着したのは陶磁研究家の小山冨士夫が、日本六古窯の一つに挙げた際に越前焼と名付けたのがきっかけです。

越前焼の特徴は、焼き締められた赤褐色の地肌と薪の灰による自然釉の風合いです。

志戸呂焼(しとろやき):静岡県

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志戸呂焼は静岡県島田市金谷で焼かれる陶器で、歴史は室町時代に美濃の陶工が焼き始めたのが最初と言われています。

志戸呂焼の特徴は、赤みがかった素地に黄色釉と黒釉を掛け、独特の渋みのある味わいがあるところです。

美濃焼(みのやき):岐阜県

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美濃焼は、岐阜県の土岐市、多治見市、瑞浪市、可児市の地域で制作される陶磁器の総称です。美濃焼が主に焼かれる岐阜県東濃地域は、日本最大の陶磁器生産拠点であり、日本の陶磁器生産量の約半分を占めているほど焼き物が盛んな地域です。

その歴史は平安時代に作られた須恵器から発展し陶器生産が始まり、桃山時代において志野焼に代表されるような”美濃桃山陶”が焼かれて一大産地となりました。

美濃焼の特徴は、”特徴がないことが特徴”と言われるほど多種多様です。ただその中でも、”美濃桃山陶”の「織部」「志野」「黄瀬戸」「瀬戸黒」は斬新で美しく、これらの焼き物は美術品としても人気があります。

瀬戸焼(せとやき):愛知県

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瀬戸焼は愛知県瀬戸市とその周辺で生産される陶磁器の総称で、日本六古窯の一つです(瀬戸窯)。瀬戸物(せともの)は瀬戸の焼き物を指しますが、それが焼き物の代名詞になるほど瀬戸焼は広く流通しています。

その歴史は、10世紀後半に愛知県猿投地区で猿投窯(さなげよう)が誕生し、そこから周辺地域への窯場の拡散が起こり、これに伴い瀬戸市南部の幡山丘陵でも灰釉陶器生産が開始されたのが始まりと言われています。

瀬戸焼の特徴は、華やかで上品な瀬戸染付焼に代表される表情ではないでしょうか。普段の食卓にも上品な彩りをもたらせてくれそうです。

常滑焼(とこなめやき):愛知県

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常滑焼は愛知県常滑市を中心として、その周辺を含む知多半島内で焼かれる陶磁器で、日本六古窯の中でも最も古い流れを汲んでいます。

その歴史は、平安時代末期から室町時代にかけて甕(かめ)や壺(つぼ)が大量に生産され、日本各地に広まりました。江戸時代後期になると、今の常滑焼を代表する鉄分が多い土を酸化炎で赤く焼き上げる朱泥焼が開発されました。

常滑焼の特徴は焼締の朱泥の急須で、使えば使うほど地肌のつやが増し、風合いが出てくるところです。朱泥急須でお茶を淹れるとお茶の味わいが良くなるとも言われています。

まとめ

中部地方の和食器・焼き物で気になった産地のものは見つかりましたでしょうか?

それぞれの産地の焼き物やうつわの歴史的背景、特徴などを知ると、日常的に使っている焼き物に対しても愛着が湧いてきますよね。

うつわ屋 和(nico)では、他の産地における和食器・焼き物の歴史や特徴もご紹介していますので、ご興味ある方は以下のリンクから是非合わせてご覧ください。

東北・関東編:うつわ・和食器・焼き物の産地マップ/地図、歴史、特徴(東北・関東)